複数の引越し業者から見積もりを出してもらったら、実際に引っ越しを依頼する引越し業者を決めなければなりません。
引越しは引越し業者の良し悪しですべてが決まるといっても過言ではありませんから、いろんな基準をもって慎重に決定したいところです。
引越し業者決定の基準はいろいろありますが、おおよそこんな感じです。
引越し業者の営業マン、見積書の印象で選ぶ
相手は営業マンですから、引越し業者や営業マン自身に不利になるようなことは絶対に言いません。
たいてい、どの引越し業者の営業マンも口八丁に手八丁でグイグイ押してきます。
時には猛烈に食下がることもあります。
引越し業者の話の中でも上辺のことは置いといて、引越しの見積もりで大事なポイントは、営業マンが言ったことが見積書に書いてあるかどうかです。
引越し業者の営業マンが言ったことが全て見積書に書いてあるか
引越しの見積書は複写式になっていて、引越し業者控え・作業指示書・お客様控えの3枚構成になっています。
複写の1枚目は引越し業者が引越しの記録として保管します。
複写の2枚目は引越し当日までは、引越しのスケジュールを管理するのに使われます。
そして、引越し当日、引越し作業員が作業指示書として会社から持ち出し、その指示通りに引越しを遂行します。
ですから、ユーザーの手元にある見積書は、引越し当日、そのまま作業に携わる作業員への作業指示書になるのです。
見積もりの時に営業マンが、「これも持っていきますよ」「2箇所に分けて降ろしますよ」「これはサービスで処分しますね」などと、調子よく捲くし立てても、それが作業指示書に書いてなければ、引越し当日の作業員には伝わりません。
引越し作業員からすれば余計な作業はしたくないですから、作業指示書に書いてない作業はしません。
さらに、その引越しの作業指示書は見積もりの時に作成されていますから、引越し業者にとっても、ユーザーにとっても引越し当日にはずいぶん前の記憶になっています。
見積書に記載されていないサービスを要求されても引越し業者の作業員は対応しません。
当然、見積もりの時に言った、言わなかったで揉めてしまいます。
このトラブルは非常に多く見受けられます。
引越し当日、見積もりの時に言った、言わないで揉めないために
言った、言わないは何も営業マン側だけのことではなく、ユーザー側も要望として言ったか、言わなかったか、見積書に書いて貰わないといけません。
「2箇所降ろしの追加料金をサービスします」と引越し業者の営業マンが見積もりの時に言ったとしても、見積書に書いてなければ引越し当日の作業員には伝わらないのです。
また、見積もりの時に「サービスします」って言われても、有料か無料か見積りに明記してないと、引越し当日まで不安になります。
筆者が昔、引越しの営業マンだった頃、このことを踏まえて見積り書を作成していました。
よくコミュニケーションの取れたお客様の見積書は、備考欄が真っ黒になってしまうほどでした。
そして、見積もり時に行ったことを事細かく記入した見積書と作業指示書は、引越し当日の作業員たちからも好評でした。
引越し業者の営業マンに有りがちな、「言った言わない」で揉める事が少なかったからです。
当時の制約率は90%を誇りました。
引越しの営業マンは引越しのプロデューサーなのです。
しっかりした引越し業者の営業マンは綿密に見積り書を作成します。
引越し業者のPRポイントで選ぶ
引越し業者の営業マンの話をよく聞きましょう。
引越し業者の営業マンの話を聞いているうちに、その引越し業者の特徴が見えてきます。
一番解りやすいのは引越し当日、荷物の破損、紛失が出た場合についてです。
「わが社のスタッフはプロぞろいですから破損、紛失は絶対ありませんのでご安心ください」という引越し業者と、「わが社は保険も保証も充実していますから万が一の破損、紛失もご安心ください」という引越し業者では迷わず後者を選んでください。
わが社のスタッフはプロぞろいですから破損、紛失は絶対ありませんのでご安心ください
「わが社のスタッフはプロぞろいですから破損、紛失は絶対ありませんのでご安心ください」と言い切れる自信と姿勢はよいのですが、引越し作業は人が行う作業ですから絶対はありません。
もしかすると、現場をあまり知らない引越し業者の営業マンが受け売りで言っているのかもしれません。
実際、引越しの現場に出たことの無い営業マン、若くて本人に引越し経験があまりない営業マンは、引越し現場でのリスクを知りません。
引越しの現場をあまり知らない営業マンが、会社のマニュアルを鵜呑みにしていることが多いのです。
また、引越し業者の営業マンはあくまでも訪問見積もりをしたユーザーに引越しを依頼してもらうのが仕事であって、訪問見積もり以降、自分の担当したユーザーの引越し日すら忘れているということも珍しくありません。
引越し業者の社内で完全にシステム化され、目の前の見積もりをこなしているだけの営業マンに多いセリフなので、下手をすると破損、紛失以外の話も信用に値しないかもしれません。
わが社は保険が充実していますから万が一の破損、紛失もご安心ください
この台詞が引越し業者の口から出たら、引越し当日の作業に関しては信用してよいでしょう。
これを言える引越し業者は、まずきちんと保険に入っています。
さらに、保険に加入していても物損が起これば、免責といって引越し業者が負担する保証の部分が必ず有ります。
これは引越し業者にとって痛い出費ですから、できるだけ保険を使いたくないのです。
また保険は付けば使うほど保険料金が上がります。
つまり、作業員のレベルが高く維持されていないと、引越し業者が保険に加入するのは難しいのです。
引越し業者が保険に入っているだけでも引越し作業のレベルが高いことが解ります。
引越しというサービスを知れば知るほど、人間の作業が完璧ではないと感じられるのです。
いつも完璧に仕事をこなして帰ってくるエース級の作業員が、たまたまその日、体調が悪く、ダンボールを落としてしまうことだってあるのです。
そのミスを謝って済ませようとするか、保証しようとするか。
とても大事な判断基準です。
引越しの作業開始時間で選ぶ
もし、午後便でお安くしますからってことで、引越し料金が安くなったなら、作業開始は正午以降で何時になるかは引越し当日に連絡しますという場合が多くなります。
これは午前中に別の引越しを終わらせてきますという意味です。
確かに引越し当日、ユーザーの引越しを担当する予定のトラックが1件目の引越し作業を終える時間は、見積もりの時点では正確にはわかりません。
ですから、午後フリー便、2便では正確な作業開始時間は言えませんとなるわけです。
しかし、最低でも「○時までに作業開始」と見積り書に書いてない午後フリー便は、引越し終了時間が夜中になることだってあります。
夕方、日が暮れてもまだトラックが到着せず、不安になって引越し業者に電話しても、「お手元の見積もり書を御確認ください。トラックの到着は午後となってます。トラックの到着をお待ちください。」と回答されるだけです。
確かに夕方19時を回っても「午後」に変わりはありません。
これがもし、見積もり書に引越し作業の開始時間が書いてあったら、引越し業者は予定とは違うトラックを回してでもトラックを向かわせようとします。
その時、後回しにされた他のお客の見積もり書には、開始時間が「午後」としか書かれていないのです。
こうして見積もり書の内容に従って、作業開始時間が書かれていない引越しはどんどん後回しにされていくのです。
ほとんど夜逃げのような引越しでいいなら、こだわるところではありませんが、真っ暗な新居でダンボールの山の中、一夜を過ごすのはけっこう辛いです。
フィーリングで選ぶ
最後はフィーリングなんですが・・・
- ● 引越し業者に対して今まで持ってる印象
- ●見積もりに来た営業マンの印象
- ●値段、料金
- ●引越しの組み立て方
(※特に注目してください)
おおよそこの4つで判断するしかないと思います。
訪問見積もりの時に引越し当日のことが手に取るようにわかり易く説明できる引越し業者は、引越し当日もしっかりした引越しができます。
逆に、料金だけに執着してるような引越し業者は積み残しが出たり、大幅に時間がずれたりと引越し当日に何かとトラブるものです。
引越し業者の営業マンだって仕事が欲しいので、引越し料金を安くしようとトラックを小さめに見積もりたくなります。
引越しに使うトラックは小さい方が引越し料金は安くなりますから、他社に料金で負けないように荷物を少なめに見積もってしまいがちです。
その結果、引越し当日、積み残しが出るわけです。
積み残しが出ると、もう一台トラックを呼ぶことになり、追加料金が発生する場合もあります。
見積もりの時に「積み切り」という言葉が出たら要注意です。
料金がちょっと安くなったくらいで家具を傷つけられたり、夜遅くまでかかって、「夜逃げ」みたいな引越しをさせられたのでは、割に合いません。
くれぐれも「安物買いの銭損ない」には、ならないようにご注意ください。
選んではいけない引越し業者とは
引越し業者はどこもだいたい同じだと思っているなら、それは大きな間違いです。
ユーザーがよさげな引越し業者だと思って引越しを依頼したら、引越し当日、とてもガラの悪い作業員が来て高圧的な態度で作業を進められた。
「でも怖くて何も言えなかった」なんてこともあるのです。
他にも「白ナンバーの引越し業者を選んではいけない」「追加料金を請求されないように気をつける」などとインターネットでよく見かけますが、それは引越し当日になってみないと解らないことですので、気づいた時には「時すでに遅し」です。
サービスを依頼する時点、つまり見積もりの時点で選んではいけない引越し業者を見極める必要があるのです。
選んではいけない引越し業者とはいったいどんな引越し業者なのか、ふるいにかけてみつけだします。
訪問見積もりに来ない引越し業者を選んではいけない
訪問見積もりとは引越し業者が直接ユーザー宅を訪問して見積もりをする無料サービスのことです。
実際に荷物や建物、隣接する道路の状況などを見て見積もりをするので、引越し当日に追加料金の発生や荷物の積み残しが出にくくなる、引越し業者が無料で提供しているとても有意義なサービスです。
中には引越し業者の訪問見積りを煩わしいと思うユーザーもいるようですが、引越し業者の中にも訪問見積りを煩わしいと感じている業者があるようです。
なぜ訪問見積もりに来ない引越し業者を選んではいけないのか
引越しの見積もりを依頼する電話口で「他社の見積もりはいくらですか?それより安くしますよ」と言って、実際に自宅を見に来ない引越し業者を選んでしまうと、引越し当日、荷物の積み残しが出る可能性があります。
積み残しが出れば、見積もりの金額とは別に追加料金が発生する可能性が出てきます。
また、引越しの当日に引越し業者が乗ってきたトラックが家の前まで入れず、別の車両を用意したことで追加料金が発生してしまう可能性もあります。
訪問見積もりをしないということは引越し前に引越し業者がユーザー宅に来ないのですから、ユーザーの手元には契約書や見積書がありません。
契約書や見積書がないと引越し当日に不手際があれば、見積もりの時に電話口で言った、言わないで揉めることになります。
契約書や見積書がない場合、ユーザーは見積もりの際の引越し業者とのやり取りを証明することができず、ほとんどのユーザーが引越し業者に押し切られてしまいます。
結局「見積もりに来てくれた引越し業者にすればよかった」と後悔することになるのです。
引越しの訪問見積もりは引越し料金の提示のためだけではなく、スケジュールや使用する車両、資材などを見極めるためにあるのです。
ホームページを公開していない引越し業者を選んではいけない
引越し見積もりなっとくドットコムをご覧頂いているということは、インターネットにアクセスできる環境にあるでしょう。
まず、見積もりを依頼する予定の引越し業者名で検索して、インターネット上にホームページを公開しているか確認してください。
なぜホームページがない引越し業者を選んではいけないのか
ホームページはインターネット上に公開している「名刺」「パンフレット」のようなもので、ほとんどの企業が公開しています。
ホームページは企業にとって「名刺」や「パンフレット」のようなものですから、特に利益を生まなくても公開しておくことに意味があるのです。
何かを購入しようと思った場合、インターネットに繋がる環境にあれば、まず商品名、販売企業名をgoogleで検索するのが多くのユーザーの行動です。
そこに企業紹介、商品・サービス紹介のウェブサイトを用意していないのは「いい企業」といえません。
これは引越し業者でも同じです。
また、ホームページを公開するには少なからずお金が掛かります。
その費用すらかけないということは「今後、継続的にサービスを提供する予定はない」とも取れるのです。
何か問題があれば引越し業者は電話番号を変えるなり、住所を変えるなりすれば、ユーザーはもう引越し業者を追いかけることはできないのです。
引越し後のクレームを受け付けない引越し業者で引越しをしてはいけません。
引越しの一括見積もりサイトに参加していない引越し業者を選んではいけない
引越しの一括見積もりサイトに参加していない優良な引越し業者もたくさん知っています。
そういった優良な引越し業者はインターネットとは別の販路を持っています。
例えば不動産業者や、マンション、住宅のデペロッパーなどとのつながりです。
こういった販路は紹介が全てで、直接、人から紹介されますので、特に紹介された引越し業者について心配することはありません。
紹介してくれた企業や人の手前、引越し業者もいい加減な仕事はしません。
引越し業者を紹介するほうもそれなりに責任ある立場にいることでしょう。
ここではインターネットで引越し業者を探した場合の「選んではいけない引越し業者」です。
なぜ引越しの一括見積もりサイトに参加していない引越し業者を選んではいけないのか
企業にとってホームページは「名刺」や「パンフレット」のようなものだと上でも書きましたが、企業単体のホームページにそれほど集客力は見込めません。
例えば大手アパレルメーカーA社のホームページを見てみます。
立派な自社のホームページが存在するのですが、同じ商品を「A社楽天店」「A社yahoo店」「A社amazon店」でも売っています。
自社のホームページでは集客が足りないので楽天、Yahoo、amazonというショッピングモールに出店しているのです。
自社のホームページと違って、ショッピングモールに出店するには審査があるうえに月額出店料、売り上げのロイヤリティなどが最低でも月に4万円ほどかかります。
このロイヤリティを払ってもなお出店するのは、各ショッピングモールのシステムによる集客力によるところが大きいからなのです。
引越しのショッピングモール「一括見積もりサイト」
引越しの一括見積もりサイトはショッピングモールに似ています。
ユーザーからすれば、この「ショッピングモール=一括見積もりサイト」の審査を利用しない手はないということです。
各一括見積もりサイトで基準は違いますが、少なくとも運輸省の認可無しに一括見積もりサイトに参加することはできません。
つまり、一括見積もりサイトを利用するだけで運輸省の認可がない業者を排除することができるのです。
これでひとつ悪質な引越し業者をふるいにかけることができます。
また、一括見積もりサイトは引越し業者からロイヤリティを取っています。
このロイヤリティを回収するためにも引越し業者は一生懸命、引越しを取りにいきますし、引越しサービスそのものも充実させることでしょう。
比べられることを望むほど、サービス内容に自信がある引越し業者
「他社と比べられても引けを取らない」という自信がない引越し業者は一括見積もりサイトには参加できません。
一括見積もりサイトに参加していない引越し業者には、他社と比べられては困る何かがあるのかもしれません。
逆に引越しの一括見積もりに参加している引越し業者は「提供している引越しサービス、引越し料金に自信を持っている」といっていいでしょう。
インターネットから見積もりを申し込むユーザーは情報発信できるユーザーである可能性がある
今やインターネット、特にSNS(ソーシャル・
SNS上でユーザーが発信した引越しに関する情報は、そのまま引越し業者を利用した感想、つまりレヴューとして有効なのです。
良くない感想を一度書き込まれると、インターネット上に長く残ることになり、引越し業者にとっては大きくマイナスなイメージがつくことになります。
引越し業者としてもインターネットを使い慣れているユーザーに対しては慎重に対応せざるを得なくなっているのです。
※白ナンバーで無認可の業者や便利屋さんなどは引越し業者ではありません。