引越し業者に見積もりを依頼すると、ユーザー宅まで来てくれて見積もりを出してくれる訪問見積もりを勧められます。
この訪問見積もりの時、見積もり書を作成してくれるのですが、結局、引越し料金しか見ていないのがユーザーの現状です。
引越しの見積もり書は3枚複写
見積もり書の見方がわかると、引越し業者を決めるときの目安になります。
引越し業者によって書式は違いますが、大事な部分を押さえておけば、引越し当日も思ったとおりの引越しになる確率が高くなります。
これは、ある引越し業者の見積もり書です。
この見積もり書は引越しの見積もりを取らないと、手に入らないものです。
では、引越し業者が置いていく、「引越しの見積もり書」を見ていきましょう。
まず、この見積もり書は3枚複写になっています。
1枚目は「会社控え」
これは引越し業者が持って帰り、事務所で保管されます。
この会社控えは、引越し業者の社内から出ることはありません。
引越し業者が半永久的に管理するものです。
2枚目は「作業指示書」
この2枚目が引越し当日までユーザーの引越しの伝票となる作業指示書になります。
作業指示書はユーザーから引越し業者に確認の電話があった時や、追加サービスの依頼、キャンセルなどサービスの変更を申し出た時の確認として使われます。
また、作業指示書は引越し当日、担当する引越し作業員が持ち出して、作業指示書に書いてあるとおりにサービスを進めていきます。(作業指示書のコピーを持ち出すこともあります)
つまり、作業指示書には、ユーザーの引越しの全てが書いてあるということです。
キャンセルや追加の依頼など、会社控えとは異なる部分があり、領収書はこの作業指示書を見ながら、作業員のリーダーが書きます。
3枚目は「お見積もり書、お客様控え」
3枚目はユーザーの手元にあるはずです。
この3枚目は上の2枚よりも立派な紙になっていることが多く、裏には約款に基づいた注意事項、キャンセル料の詳細、荷物に対する保証内容などが書いてあることが多いです。
見積書の裏に注意事項が書いてない時は、別紙が用意されています。
荷造りの方法などは、カンタンなリーフレットを別に要している引越し業者がほとんどです。
「見積書」は「作業指示書」だということをよく理解しておきましょう。
引越し業者を決める時の「決め手」となります。
引越しの日付だけでなく、引越し作業の開始時間にも注意
引越し業者によってフォーマットは違いますが、項目として必ず書いてあるのが引越しの日時です。
もちろん、見積もり書の引越し日が間違いないことも確認しなければなりませんが、時間にも注目してください。
上から「受付日」、「見積日」の項目があります。
次の項目、「小物梱包日」は、ラクラクパックや、お任せコースなどを利用して小物の梱包サービスを引越し業者に依頼した場合に書き込まれます。
「小物梱包日」は、引越し日と同一でない場合があり、荷物が多い場合や、引越しの行程が数日間に及ぶ場合に、引越し日とは別に引越し業者の作業員がやってきて、小物を梱包してくれる日のことを言います。
これは引越しの前の日である場合が多く、前日梱包と言われています。
「小物梱包日」は、引越しの組み立て方でかなり変わってきますので、詳しく聞いておいたほうが良いでしょう。
「お引越し日」は、そのとおり「引越し当日」だと思いがちですが、その下にある「お届け日」に注目してくさい。
厳密に言えば、引越し日は引越し業者が引越しの荷物を引き取る日なのです
「お届け日」になにも記載が無い、もしくは「お引越し日」と同じ日付の場合、一日で終わる引っ越しです。
この部分は、引越し業者によって引越しの組み立て方が違う場合もありますので、見積もりの時に確認しておきましょう。
その下の項目は、ユーザーしか知らない個人情報が書いてあります。
「会社請求時の送り先」は、転勤などの引越しで、引越し業者が直接ユーザーが勤める会社に請求書を出す時に使われる項目です。
荷物情報に漏れがないか確認しておく
引越し業者の営業マンが、あなたの荷物の量を一つ一つチェックしてくれます。
引越し業者はこの荷物の総量でトラックの大きさを決めています。
大きな物のチェック漏れがないか、カンタンにでもチェックしておきましょう。
家の中のものは引越し業者のチェック漏れで通用しますが、家の中に無いもの、例えば、自転車や原付バイク、物干し竿や納戸の中のものなど、ユーザーから申告がないと引越し業者が知りえないような荷物に関しては、チェックされていないと運んでくれない場合もあります。
引越しの訪問見積もりの時に申告漏れがないかチェックしてください。
引越しの見積書の料金項目
肝心の引越し料金の項目です。
基本的に引越し料金の割引、値引きは合計金額から引かれています。
ですから、小さな項目を削ったら、その項目の料金分、引越し料金が安くなることはありません。
つまり、項目に書いてある「数量」は大事ですが、項目ごとに書いてある「料金」は、あまり意味を持たないということです。
運賃
まず、「車両」とあります。
これは運賃にあたります。
この運賃は、引越し業者が行う全てのサービスに対して発生します。
例えば、同じ集合住宅内での引越し(棟内移動)など、実際にトラックを使った荷物の移動が無い場合でも、この運賃は発生します。
人件費
次に「人件費」(B)。
積地と卸地、旧居と新居で作業員の枠が違うのは、同じ作業員ではない可能性があるからです。
引越し業者の見積もりを比べるのに、合計金額の次に大事なのが作業人数です。
この作業員の人数が引越し当日の作業終了時間に直接関係してくるからです。
引越し料金が同額なら、迷わず作業員の人数が多い方の引越し業者を選びましょう。
引越し作業員の人数はそのまま作業時間に反映される
引越し作業員の人数が一人違うだけで引越し作業の捗り方がまったく違ってきます。
人件費(C)を見れば解るように、梱包の人件費は別になっています。
実際、荷物を運ぶ作業員が梱包作業にあたっても、別の人件費として計上します。
例えば、梱包の人件費が一人当たり15,000円で、3名となっていた場合、梱包作業を運ぶ作業員が兼ねていたら、45,000円という金額が引越し料金の合計に余計に乗っています。
梱包作業費も引越しの合計料金からの値引き幅として有効活用されています。
ただ、そんなことで引越し業者をつついたからと言って、引越し料金が安くなるわけではありません。
値引きはあくまでも合計金額から行われます。
ほとんどの引越し料金の値引きは、単純に合計金額からのみ行われていますので、梱包と搬送の作業員が同じ人間だから安くしてほしいと言っても通じるものではありません。
実際に梱包作業は行われているのですから。
有料オプションサービス
続いて「その他付帯料金」。
ここに書いてある項目に関しては、引越し業者もほぼ実費なので、項目を削ればその分は合計金額から引かれます。
この項目に関しては引越し業者にとってもほぼ外注なのです。
エアコンの付け外し、ピアノ搬送、自動車・バイクの陸送などは引越し業者が提携している専門業者に依頼します。
テレビ、ビデオの配線、調整なども外注です。
洗濯機の取り付けも外注になっています。
そして、最後に合計金額です。
ここには計算した金額を一旦記入します。
昔はこの下に空欄の枠があって、いかにも値引きした金額を書き込む枠らしく作ってありました。
なんとなくわざとらしく感じるようになって、その枠は取っ払ってしまい、割引・値引き後の金額は、備考欄に書き込むのが最近のやり方です。
引越しの見積もり書に書いてあることで重要なこと
引越しの日、作業回時間、引っ越し料金。
これが書いてあるのは当然として、大切なことは営業マンが言った事が全て書いてあることです。
ユーザーが気になっている事柄は、全て引越しの見積もり書に書いてもらいましょう。
見積もりの時に口約束は避け、見積書に細かく書いて貰うべきです。
例えば、処分費を引き取ってもらえるかどうか。
ダンボール一つの処分品も引き取らない引越し業者もあるのです。
引越し当日に「言った、言わない」でもめないためにも全て見積書に書いて貰いましょう。
引越しの見積もりを取ったら見積書の項目でチェックしておきたい5つのこと
引越しの見積もりを取る時にチェックしておきたい5つのこと。
引越し業者を決める時に役立つ引越し業者決定のチェック事項です。
1.引越しの日は希望通りか
引越し業者から引越しの見積もりを取る時には、まず引越しの希望日を聞かれます。
引越し業者はユーザーの希望を考慮した上で、ユーザーの引越し希望日の他に「この日なら安くできる」という理由で、引越し日を希望日とは違う日に誘導することがあります。
たいていの場合、休日から平日への引越し日の誘導です。
ユーザーが引越し日を変更することが可能なら、もちろん引越し日を変えるのはかまわないのですが、他の引越し業者が希望どおりの日にちで見積もりを出しているならば、引越し日を誘導した引越し業者の見積もり金額は、他の引越し業者の見積もり金額と比べてはいけません。
例えば休日より平日の引越しのほうが安くなるのは当然です。
ほかにも仏滅の引越しが安くなる傾向は少なからず残っています。
そもそも引越し日を変えていいのなら、他の引越し業者がもっと安くできる引越し日を持っているかもしれません。
見積もりを取った引越し業者のうちの1社が引越し日を誘導してきたら、他の引越し業者にも同じ条件の下に引越しの見積もり金額を聞き出しましょう。
2.引越しのスタート時間は明確か
引越し当日の作業開始時間が明確になっているかをチェックしてください。
引越しの作業開始時間は朝いちばんの引越し以外、明確な約束ができないのが引越し業者の現状です。
引越しの作業開始時間は、そのまま引越しの作業終了時間に繁栄されます。
引越し当日は多少早起きしてでも早く引っ越し作業が終わるようにすることをお勧めします。
引越し当日、本当に大変なのは引越しの作業が終わり、引越し業者が帰ってからです。
とりあえず必要なものをダンボールから引っ張り出し、ダンボールを片付けて寝る場所を確保しなければなりません。
引越し当日の夜は寝る場所だけでなく、リビングだって少なくともテレビを見れる環境くらいは確保したいものです。
しかし、引越しの作業開始時間が遅くなれば、当然、引越しの終了時間が遅くなります。
引越し作業開始時間をチェックして、なるべく引越し作業の開始時間が早い引越し業者を選択するべきです。
3.引越しの作業人数は何人か
引越し業者の見積書には引越し当日作業にあたる作業員の人数が書いてあります。
この作業員の人数は多いに越したことはありません。
作業員の人数はそのまま引越しの作業時間に反映され、作業員の人数が多ければ多いほど引越しが早く終わります。
引越し作業員の人数は引越しの作業時間だけでなく、作業内容にも大きく関係します。
引越し作業員は疲れてくると、まず作業が丁寧でなくなってしまいます。
さらに疲れてくると作業が遅くなって、最終的に動けなくなります。
作業員の人数が多ければ、それだけ作業員一人一人の作業負担が減りますから、作業員は疲れにくくなり、丁寧な作業を続けることができるというわけです。
逆に引越し作業員の人数が少ないと、作業時間が遅くなるうえに、作業員一人一人の負担が増えることで作業が雑になり物損や事故が起きやすくなるのです。
引越しの料金が変わらないか少し高いくらいなら、引越しの作業員の人数が多い引越し業者をお勧めします。
見積もりの段階では引越し当日の作業員の人数が明確でない引越し業者はなるべく避けるべきです。
4トントラック一台分の荷物量の引越しで、4トントラックに作業員が二人乗って来て引越し作業をしようとしたなら、その引越しは朝から始めても夕方には終わらないでしょう。
4トントラック一台分の引越しなら、4人から5人が最適、最低でも3人の作業員が必要です。
4.引越しの料金は明確か
引越しの料金は複雑な計算から成り立っています。
また、引越しサービスのうちどこまでが引越し料金に含まれているかをチェックしてくさい。
エアコンの移設、小物梱包などの付帯サービス(通常有料のオプションサービス)は引越し料金に含まれているか、荷物は全て運ぶのか指定したものだけなのか。
また、引越し当日、追加料金が発生する可能性があるか、ないかもチェックしておきましょう。
引越し当日の追加料金はいろいろな事柄から発生します。
追加料金が発生しやすいのがエアコンの設置です。
エアコンの設置場所と室外機までの距離が遠いと配管を延長、交換するための追加料金が発生しますが、これは仕方のないことです。
新居の間取りや環境については訪問見積もりの段階では計算できないことだからです。
これはむしろユーザー側の準備不足が問題なのですが、引越し当日、引越し業者が到着したのに荷造りが間に合ってなくて、引越し作業員が荷造り作業をすると、ダンボール一箱につきいくらという形で追加料金が発生します。
また、新居で家具を設置したい場所が2階以上なのに階段の幅が足りず家具が通らなかった場合、バケット車を別途用意することになり追加料金が発生することもあります。
新居の前の道が狭くてトラックはいっていけず、予定のトラックとは別の小さなトラックを用意しなければならなったので、そのトラック分の追加料金が発生することだってあります。
引越し当日に見積もりの金額とは別に追加料金を請求されるなら、見積もりとはなんだったのか?ということになりかねません。
追加料金が発生するかしないかの確認が必要です。
5.引越しサービスの保証は充分か
引越しの保証に関しては見積もり書の裏に書いてあることが多く、小さな字でうんざりするほど書いてありますのでどうしても見落としがちです。
確かに文章に起こせば相当な文字量になり、引越し業者もユーザーもなんとなく確認したような気持ちになって、ことを進めてしまいます。
ところが問題が起こるのは、必ず引越し当日よりも後なのです。
引越しの場合、見積もりの段階では引越し当日の問題やトラブルを予想することなど不可能です。
だからこそ保証の制度が用意されているのですから、保証が充分であるか必ずチェックしておきましょう。
それも面倒なら重要な部分、例えば建物や家具、家財に傷があった場合の保証や荷物の一部を紛失してしまった場合の保証などを引越し業者に確認し、見積書に書いてもらいましょう。
引越し当日に起こるトラブルは事前に予測できませんから保証制度があるのです。
物が壊れたり、傷がついたなどはすぐにわかりますが、物がなくなったことは確認が難しくなります。
引越しの前にはユーザーのもとにあったことを引越し業者に証明するのが難しいからです。
訪問見積もりの際に引越し業者が作成する荷物リストに細かく書いて貰っておくと、紛失の証明が簡単になります。