引越し見積もり用語辞典

養生【引越し見積もり用語辞典】

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養生とは。

引越しの見積もりで出てくる用語です。

養生

辞書では養生という言葉には四つの意味があります。

ようじょう【養生】

1.生活に留意して健康の増進を図ること。摂生(せっせい)。「酒やタバコをひかえ、つね日頃から―している」

2.病気の回復につとめること。保養。「転地して―する」

3.打ち込んだコンクリートやモルタルが十分に硬化するように、低温・乾燥・衝撃などから保護する作業。

4.家具の運搬や塗装作業などの際に、運搬物や周囲の汚損を防ぐために布や板などで保護すること。「―シート」

ウィキペディアにはこう記してありました。

中国の思想で生を養う、すなわち人間の身体を整える事。転じて、健康を保つことや、傷病を治癒するために保養すること。

建築・土木でいう養生(英語:curing、cure) – 土木工事で打ち終わったコンクリートやモルタルを保護し、充分に硬化させるための作業。

塗装工事などにおいて仕上げ部分以外に余分な塗料が付着しないように、シートを敷いたり、テープを貼って防ぐこと。マスキング(英語:masking)とほぼ同じ意味で用いられるが、厳密には区別されることもある。または、そのときに使われる養生資材(マスカー)、または養生テープ(マスキングテープ)のこと。

作業時における危険防止や事故の予防のために行われる処置のこと。

養生という言葉はいろいろな用途で使われていますが、その意味はおよそ「保養」や「治癒」といった言葉の起こりである「体を整える」という意味と、体を整えるという意味合いから転じて、体以外のものや人の行為に対して「保護する」「防ぐ」という意味の二つに分かれています。

引越しにおける養生とは

引越しにおける養生とは、辞書で言う「4.家具の運搬や塗装作業などの際に、運搬物や周囲の汚損を防ぐために布や板などで保護すること」にあたります。

厳密にいうと、引越しにおける養生は「家具、家電、ダンボールなどの引越し荷物の運搬作業の際に、建物の汚損を防ぐために布や板で保護すること」となります。

引越しで使われる養生という言葉が意味する保護の対象は「周囲」つまり建物です。

引越し業者は旧居でも新居でも、ユーザー宅に到着すると、まず、駐車したトラックの荷台からユーザーの部屋までの導線を確認し、壁や床に対してシートや板などを使って養生します。

階段や導線の曲がり角、エレベーターなどは、引越し荷物の運搬作業によって汚損などが無いよう特に入念に養生が施されます。

建物に対して養生を施すのは、多少乱暴に運搬作業を行っても大丈夫なようにではなく、あくまでも万が一に備えてのことです。

これに対して運搬物となる引越し荷物に対する保護のことは、引越しでは「梱包」となります。

これを混同してしまって「タンスを養生する」というと意味は伝わりますが、引越し業界では使わない言葉の組み合わせになります。

運搬物に対する保護のことは引越しでは「梱包」と呼び、養生とは言わない

部屋の中の養生

引越し業者は運搬時に建物に傷をつけたり、汚したりしないよう、床にはマットを敷き、壁には養生シートを貼ってそれぞれ保護してから運搬作業に入ります。

旧居でも新居でも、一度、梱包した引越し荷物を部屋の中に置く場合、必ず養生マットの上になります。

特に大型家具・家電は、梱包を解いて指定の場所に設置する時に初めて養生マット上から外されます。

部屋の中を養生してから運搬作業が始まる

トラックから玄関までの運搬作業の導線の養生

建物を保護するための養生は、部屋の中だけでなく、トラックの荷台から玄関までの荷物を運び込む導線全てに行われます。

引越し作業員が荷物を運ぶ際に通る導線の壁や床、ドアなどにも養生が施されます。

集合住宅の場合、エレベーターやエントランスにも養生が行われます。

集合住宅ではエレベーターの中までキッチリと養生される

集合住宅ではエレベーターの中までキッチリと養生される

引越しの養生に使われる資材

引越しで養生というと「建物に対する保護」のことを指します。

引越し業者が建物に施す養生において、「布や板などで保護すること」の具体的な手法は以下のようになります。

引越しの養生で使われる「布」

引越しで養生に使われる布は、専用のマットや毛布などがあります。

積み地(旧居)で家具、家電を梱包する際は、梱包する家具、家電をいったんマットの上に置き、専用マットの上で梱包します。

降ろし地(新居)に運び込んだ家具は、所定の位置に設置するまで直に床に置くことはなく、必ず専用マットや毛布を敷いてその上に置かれます。

運ばれる家具も梱包されていて所定の位置に配置する瞬間まで梱包を解くことはありませんので、建物に施した養生のマットや毛布と合わせて2重に配慮されています。

引越しの養生で使われる「板」

引越しで養生に使われる板は壁用と床用に分かれています。

養生シートと呼ばれるプラスチックダンボールは壁の養生に使われます。

ダンボールと同じ構造で作られているプラスチック製の養生シートは弾力があり、形を変形させて使うことができます。

養生シートを部屋の壁や角の形に変形させて、養生テープで固定し建物を汚損から守ります。

養生マット、養生ボードと呼ばれるポリプロピレン製の養生材は、主に床の養生に使われています。

この養生ボードは部屋の中で使われることはなく、トラックから玄関までの導線を養生するのに使います。

養生ボードを敷くことで、床に傷がつかないだけでなく、ダンボール箱などを載せて運ぶ台車がスムーズに押せるようになります。

引越しの見積もり時に確認したいこと

引越しの訪問見積もりの際に何をどこまで養生するのか引越し業者に確認することができます。

養生は時間のかかる作業ですから、引越し業者の作業員は省きたくなる作業でもあります。

何をどこまで養生するかは引越し業者によって違います。

また、運ぶ引越し荷物の量によってもどこまで養生するか作業チームレベルで変わります。

もし、引越し作業で建物に傷などつかないか心配であったら訪問見積もりの際に引越し業者に確認しておきましょう。