ピストン・ピストン輸送【引越し見積もり用語辞典】
ピストン・ピストン輸送の意味とは。
引越しの見積もりで出てくる用語です。
目次
ピストン輸送
辞書にはこうあります。
ピストン‐ゆそう【ピストン輸送】
車両・船舶などを休みなく往復させて、物や人を次から次へと送ること。

ピストン・ピストン輸送の例としてイベントや観光地などへ最寄りの駅から休みなく往復するシャトルバスなどが挙げられる
ピストン・ピストン輸送とは一般的に一定の区間を休みなく往復して人や物を移動させる輸送方法を意味しています。
代表的な例としてイベントや観光地などで用いられる「シャトルバス」が挙げられます。
シャトルバスはイベント会場、観光地などから最寄りの駅まで、ほぼ休みなく往復して人を運んでいます。
また、事故や災害などで鉄道の1区間が運行不能になった時に、運行不能になった区間を休みなく往復して乗客を運ぶ臨時バスなどもピストン輸送の形になります。
引越しにおけるピストン・ピストン輸送
引越しに使用するトラックが旧居と新居を1回以上往復する輸送方法。

荷物の総量が4トントラック分であっても、引越しの旧居、新居のどちらかに隣接する道路が2トントラックしか入らない場合、ピストン・ピストン輸送を選択することがある
引越しにおけるピストン・ピストン輸送では、元来のピストン・ピストン輸送が持つ「休みなく」という条件が外れ、旧居と新居を1度でも往復するとピストン・ピストン輸送となる。
引越しに使用するトラックが複数台ある場合、使用するトラックの1台でも旧居と新居を往復すればピストン輸送。
主として移動距離が5km程度までの旧居と新居が近い引越しで使われる輸送方法。
引っ越しする旧居と新居のどちらかに隣接する道路の道幅が狭く、引越しに使用するトラックの大きさを限定される場合にもピストン・ピストン輸送をする場合がある。
ピストン・ピストン輸送という呼称は見積もりの段階から想定されている場合にのみ使われ、引越し当日、積み残しが出るなどして見積もりにはない工程でトラックが往復することになった場合はピストン・ピストン輸送とは呼ばない。
引越しにおけるピストン・ピストン輸送のメリット
引越しでピストン輸送してもらうユーザーのメリット
- ピストン輸送してもらうことで引越し料金が安くなる
荷物をいっぺんに運べるトラックを使用するよりも、一度では荷物を積み切れない大きさのトラックでピストン運輸送することで、引越しに使用するトラックの大きさがワンランク下がり、引越し料金が安くなります。
例えば、荷物が4トントラック1台分で移動距離が1kmの引越しの場合、4トントラック1台で普通に引越しすれば、引越し料金は10万円程度です。
荷物が4トントラック1台分で移動距離が1㎞の引越しで、旧居と新居のどちらかに隣接する道路が、4トントラックが入れない道幅であった場合、2トントラック2台を引越しに使用することになり、2トントラック2台を使用する場合の引越し料金は12万円~14万円程度と4トントラック1台で運ぶより高くなってしまいます。
ところが、荷物が4トントラック1台分で移動距離が5㎞の引越しを2トントラック1台でピストン輸送で引越ししたら、引越し料金は8~9万円程度と4トントラック1台で運ぶよりも割安になります。
ピストン・ピストン輸送することで、なぜ引越し料金が安くなるかは、引越し業者のメリットを見ればすぐに理解できます。
引越しでピストン輸送する引越し業者のメリット
- ピストン輸送することで1件の引越しに使うトラックと人件費を最小限に抑えられる
引越し業者側からすると1件の引越し物件に使うトラックと作業員の人数を最小限に抑えられるのがピストン輸送です。
1件の引越し物件に使用するトラックの台数を抑えることができれば、引越し業者は同日、同時間帯にさらに多くの引越し物件を請け負うことができます。
同じ2台のトラックを使うなら、1件の引越しに2トントラックを2台使って、多少、割高な引越し料金にするよりも、2トントラック2台がそれぞれ個別に1件ずつの引越し物件を請け負い、同日、同時間帯に2件の引越しを遂行するほうがはるかに利益が出せます。
旧居と新居が近い引越しで引越し業者の主要トラックに荷物が積み切れない場合、その引越しにトラックを2台使うよりも、多少、値引きをしてでも1台のトラックでピストン輸送する引越しを2件請け負いたいというのが引越し業者の本音です。
引越しにおけるピストン・ピストン輸送のデメリット
- 引越しに時間がかかる
ピストン輸送に時間がかかると言っても単純に旧居から新居の往復分2倍の時間がかかるわけではありません。
ピストン輸送の引越しでは建物の養生を一度に済ませて、養生をしたままトラックを往復させますから、トラック2台で一機に運んだ場合にかかる時間のおよそ1.5倍程度です。
- 立ち会いの移動が必要になる、もしくは立ち会いが二人必要になる
旧居での積み込み、新居での運びこみには立会が必要になります。
ユーザーが一人で立ち会うなら、引越し業者のトラックが移動するのと同じタイミングで、ユーザーも旧居と新居を移動する必要があります。
立ち会えるユーザーが二人いれば立ち会いのための移動は必要なくなります。
できることならピストン輸送の引越では立ち会いに二人欲しいところです。
引越しにおけるピストン・ピストン輸送の実際
引越しにおけるピストン輸送は、他にも引越し業者が用意できる最大のトラックの積載量を超える程、たくさんの荷物があるユーザーの引越しなどにも使われます。
企業の引越しや大豪邸の引っ越しなど、引越しそのものが数日かけて行われるような大きな引越し物件は必然的にピストン・ピストン輸送の形になります。
他に、引越し業者の営業マンが見積もりの時に使用するトラックギリギリの荷物量だと判断した場合にも、一度の輸送で積みきれなかった場合、ピストン輸送するという条件の見積もりを出すことがあります。
引越しにおけるピストン・ピストン輸送は、多少時間と手間がかかりますが、ユーザーからすれば引越し料金を安く抑えられますから、移動距離が短かい引っ越しの場合、見積もりの際にピストン・ピストン輸送での引越し料金も聞いておいて損はありません。
引越し業者にとってピストン輸送はメリットばかりですから喜んで見積もってくれるはずです。