引越し会社別引越しの見積もり情報

ヤマト運輸が引越しサービスの新規のお申し込みを休止している件について

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現在、ヤマトホームコンビニエンス社が引越しサービスの提供をストップしています。

※2019年9月より個人向けの引越しサービスの提供から再開する方針を固めたようです。個人のお客さまを対象に、2019年9月17日(火)から一部エリアで受注受付、同月28日(土)からサービスの提供を開始いたします。家族向け引越しサービスは停止中。

法人契約の引越しの見積もりで、過度な荷物の水増しを行っていたことが発覚したことにより、自社の決定で引越しサービスの提供をストップしているようです。

ヤマトホームコンビニエンス社のホームページでは、水増し請求のことを不適切な請求としていますが、どのような内容だったのかを見ていきます。

ヤマトホールディングスの問題

ヤマトホールディングスは法人契約の引越しの見積もり時に、荷物の総量の水増ししていました。

転勤に伴う引越しは長距離の引越しになることが多く、長距離の引越しでは積み残しが許されません。

近距離の引越しのようにピストンすることができないからです。

長距離の引越しでは、引越し業者が積み残しを恐れて使用するトラックの大きさを大きく見積もりがちになります。

例えば、「荷造りの仕方と積み方によっては3トントラックに乗るかな」という引越しが、長距離の引越しになると「積み残しのリスクを回避できる4トントラックで引越ししましょう」という見積もりになるのです。

これが誰も管理していない法人契約の引越しであった場合、3トントラックにギリギリ積めるくらいの荷物量であれば、迷うことなく4トントラックを用意するでしょう。

ヤマトホールディングスの法人契約の見積もりも、おそらく初めはこの程度の水増しだったのでしょう。

時間の経過と職務怠慢は法人契約の引越しをこの程度の水増しに収めておくことができませんでした。

軽トラック1台程度の荷物を運ぶのに、4トントラック分の見積もりを出すような荷物の総量の水増しが始まります。

この引越し荷物の水増しは営業所間を超えて全国的に広がっていくのです。

実際、訪問見積もりに行っていない引越し案件もあったでしょう。

法人契約の料金表に照らし合わせる引越し荷物の総量は、引越し業者の報告のみなのですから。

引越しの法人契約の問題点は、転勤する社員が引越し料金を知らない点と、引越し荷物の総量を引越し業者のみが決めていた点にあります。

転勤になる社員が引越し業者から見積もりを受け取って、企業の人事部に提出する段取りを取っていれば、実際の引越荷物の総量と見積もりの内容が大きく違っていることに気づいたことでしょう。

また、引越しの法人契約を結んでいた企業の人事担当者が実際の荷物量を確かめていれば、このような水増し請求は起こりませんでした。

引越し業界全体の問題、2019年の春は引越し難民であふれかえった

引越しの法人契約は契約の内容、見積もりの仕方、チェック体制のあり方から見直されるべきです。

どのような引越しであったかを個々に確かめる必要があるのです。

今回のヤマトホールディングスの一件で、他の引越し業者も、引越しの法人契約を取り交している企業も契約のあり方を見直すことになるでしょう。

しかし、問題は水増し請求だけではありません。

ヤマトホールディングスが個人のお客さま向けを含むすべての引越サービスの新規受注を休止することを決定したことこそが問題なのです。

このままヤマトホールディングスが引越しサービスの新規受注を休止し続ければ、2019年の春、引越し難民であふれかえることでしょう。

もともと繁忙期には、料金が合わないという理由で、単身の引越しなど請け負うことができない引越し業者ばかりなのです。

その中にあって、ヤマトホールディングスが提供していた、カートと路線便を利用した単身パックは単身者の引越しにとって救いとなっていました。

まさに単身パックの王道でした。

ヤマトホールディングスの単身パックがなければ2020年春も引越し難民があふれかえることに

繁忙期にヤマトホールディングスが請け負っていた単身者、カートを使った単身パックの料金帯の引越しを請け負える引越し業者はまずありません。

ヤマトホールディングスが引越しを引き受けないことを知らずに、転居する予定の新居と現在の部屋からの退去日を決めてしまった単身の引越しユーザーは、引越しを請け負う引越し業者がどこにもないことを嘆くしかないのです。

ファミリーの引越し料金くらいの高値で引越しをするか、退去日を延長するしかなくなるでしょう。

引越し難民を作り出してしまうことこそが今回のヤマトホールディングスの問題点と言えます。

ヤマトホールディングスがかかえる問題、引越しスタッフの流出

長く引越しサービスの提供を中止することでヤマトホールディングスの内部にも問題が起こります。

引越しという仕事がなくなった引越し作業員たちがヤマトホールディングスを離れてしまうことです。

単身パック程度の引越し作業なら少々体力があれば、昨日、今日入ったアルバイトでも仕事をこなすことはできます。

しかし、ご家族向けの引越しには体力に加えて家具、家電を扱う技術と経験が必用になります。

家具、家電の梱包建物の養生など、引越しサービスについての知識がないと家財や建物の汚損を招くことになります。

ご家族向けの引越しサービスは昨日、今日入ったアルバイトだけではとてもこなせるものではありません。

ご家族向けの引越しサービスには技術と経験が必用なのです。

その経験を積んだ引越しのスタッフたちが、引越しの仕事がないヤマトホールディングスを離れてしまうのですから、ご家族向けの引越しサービス提供の再開は更に難しくなるのです。